分子配向とからみ合いを利用した透明プラスチック材料の高強度化

信川 省吾
(名古屋工業大学 大学院工学研究科 助教)

2016年11月21日月曜日

やさしい科学技術セミナーを終えて

2016年11月19日に名古屋工業大学でやさしい科学技術セミナーを開催しました。
事前準備等財団事務局の皆様、研究室の学生さんの協力もあり、おかげさまで、無事、滞りなく終えることができました。

日時: 2016年11月19日(土)
セミナータイトル:  変形させると色が変わるゴムやフィルム?
参加者: 15名(高校生がメイン)

セミナーでは、高分子(プラスチック)と発色現象について簡単に説明をした後、色が変化するゴムや、偏光板を使ったフィルムの色の観察を実際に体験してもらいました。

セミナーの内容について、簡単に紹介したいと思います。

① 色が変化するゴム
1番目は、色が変化するゴムについてです。
アクリル系ポリマーのナノ微粒子は無色透明ですが、これを規則的に並べ、ゴム中に閉じ込めると、図のように発色する様子が確認できます。
これが「構造色」です。
また、発する色は微粒子間距離で決まる(*)ため、引張ったり圧縮したりすると、微粒子の間隔が変わり、色が変化します。

モルフォチョウの羽やコガネムシの鮮やかな色や、シャボン玉の虹色、CD表面の色にも、構造色が関係しています。
また、材料に加わった力の可視化などにも応用が期待されています。


* 色と粒子間距離の関係は、Braggの式によって説明され、発する光の波長 λ と粒子間距離 d には次式が成り立つ。
 λ = 2d n sinθ   Braggの式
n は媒体の屈折率、θ は入射角(視野角)である。

 


② 偏光板によるフィルムの色の変化
2番目は、ポリエチレンのような無色透明なフィルムでも、着色して見える現象です。
詳しい内容は省略しますが、この現象は方向によって屈折率が異なる場合に生じます。
2つの方向の屈折率の差を複屈折と呼び、フィルム成形時の分子配向や、引張りによって発現します。
スーパーやホームセンターで売っている荷造り用の紐(ポリエチレン)は透明ですが、成形時に延伸されており、ミクロにみると、高分子鎖が配向しています。
そのため、複屈折が生じ、偏光板を通すと色づいて見えます。

このような色は液晶ディスプレイの色むらなどにも関係するため、光学分野においては複屈折の精密な制御が重要となっています。



セミナーの様子は、Youtubeにアップされているようなので、興味のある方がご覧ください。
https://youtu.be/0_azR8vVOlA




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